

1600年代に入ってから、パン酵母が免疫システムに有効に作用するという多くのデータが発表され、生体防御系や腸管免疫系に関する研究が推進されてきました。2000年には、β-グルカンの特異的な自然免疫受容体(デクチン-1)が発見され、経口摂取におけるβ-グルカン(=パン酵母GPS)の作用メカニズムが解明されています。
●パン酵母GPSの免疫作用
パン酵母GPSは、口から入って、小腸でバイエル板を通り、体内に取り込まれます。体内ではマクロファージと呼ばれる免疫細胞により貪食されます。マクロファージは体の中の免疫器官へ移動し、貪食したパン酵母GPSを消化して小さく断片化し、放出します。放出された断片は、免疫細胞であり白血球の一種である好中球に結合し、好中球を活性化します。活性化された好中球は、より素早くウィルスや細菌等の外敵や抗体が結合したがん細胞を認識し、攻撃します。

著名な英学術誌Natureにも、β-グルカンの作用メカニズムの論文が掲載されています。
Helen S.Goodridge et.al.,Nature,472,471-475(2011)
解明された
β-グルカンの作用メカニズム
β-グルカンのポテンシャル
β-グルカンの作用メカニズムの解明により、β-グルカンを経口摂取すると全身性の細胞免疫が増強されると考えられ、感染症や炎症、悪性腫瘍の増殖の予防効果、そして健康長寿やQOL(生活の質)の改善等にも好影響をもたらす可能性があると期待されています。
また、国の難病指定である潰瘍性大腸炎や、クローン病などの消化官の慢性炎症を伴う疾患にも、β-グルカンが有効であると指摘されています。
β-グルカンは、そもそも、腸内フローラのバランスを保つ上で重要な成分として注目されている食物繊維の一つでもあります。善玉菌のエサとなって、その増殖を助け、腸内フローラを改善するのに有効です。